【契約婚した相手が鬼宰相でしたが】恋愛至上主義の真相|誰が広めた?4巻ネタバレ

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こんにちは、くろしろです。

『契約婚した相手が鬼宰相でしたが、この度宰相室専任補佐官に任命された地味文官(変装中)は私です。』の舞台となるスラン王国では、「運命の愛」が何よりも優先されています。

愛する人ができたと言えば、婚約破棄や離婚まで簡単に認められる。

最初は、クリスティーヌとレオンが契約結婚するために作られた世界観だと思っていました。

しかし、4巻で明らかになった真相は、想像以上に重いものでした。

結論から言うと、スラン王国の恋愛至上主義は、国王の大恋愛だけで自然に広がったものではありません。

フォンタナ元宰相が、娘ジュリエッタを追い詰めた国王への復讐として、劇と違法な聖導具を利用して広めた可能性が高いです。

この記事では、恋愛至上主義が生まれた理由と、それが国を衰退させるまでの流れを解説します。

※ここから単行本4巻までの重要なネタバレを含みます。

結論|恋愛至上主義は国王への復讐だった

スラン王国の恋愛至上主義を広めた中心人物は、フォンタナ元宰相です。

フォンタナ元宰相の娘ジュリエッタは、国王の恋愛によって婚約者の破棄され、悪役令嬢として扱われました。

さらに、その出来事を題材にした劇『黒の王子と金の乙女』では、ジュリエッタが国王と恋人を妨害した悪役のように描かれます。(3巻冒頭解説)

普通に考えれば、父親が娘の名誉を傷つける劇を広める理由はありません。

そのため、レオンたちは当初、

「フォンタナ元宰相を裏で操った黒幕がいるのではないか」と考えていました。

しかし、真相は逆でした。

フォンタナ元宰相は、国王の恋愛を美化し、恋愛至上主義を国中へ広めることで、長い時間をかけてスラン王国そのものを衰退させようとしたのです。

フォンタナ元宰相

忠誠を誓ったフリをして「娘」を傷つけた王を悪い意味で後世に名を残し、国の破綻の原因を突き止められるように「劇」「書物」など記録に残した。

実際、狙い通り国民性を疑われ、国の信用は失われつつある。

恋愛至上主義とは?

スラン王国では、現国王の大恋愛をきっかけに「愛はすべてを超える」という価値観が広がりました。

その結果、次のような行動まで認められるようになります。

  • 婚約者以外に好きな人ができれば婚約破棄する
  • 結婚後でも運命の相手を理由に離婚する
  • 恋愛なら約束を破っても仕方がないと考える
  • 契約を破った側が十分な責任を取らない
  • 仕事や家族より新しい恋愛を優先する

もちろん、誰かを愛すること自体が悪いわけではありません。

問題は「愛があれば何をしても許される」という考え方です。

婚姻は本人同士だけでなく、家同士の事業や国同士の関係にもつながります。

一方的に約束を破れば、相手側に損害が発生します。

それでも恋愛を理由に責任を取らなくてよいとする風潮が広がり、スラン王国は他国から信用されなくなっていました。

国王の大恋愛は美しい物語に作り変えられた

スラン王国の恋愛至上主義を広める役割を果たしたのが、劇『黒の王子と金の乙女』です。

この劇では、国王の恋愛が身分や困難を乗り越えた美しい物語として描かれています。

一方で、婚約を破棄されたジュリエッタは、恋人たちを妨害する悪役として扱われました。

しかし、元々この出来事は、誰もが国王を支持するような美談ではなかったようです。

国王の行動を醜聞として捉え、反対していた人もいました。

それが劇の上演後には、国王の恋愛を称賛する声が増えていきます。

さらに、恋愛至上主義に反対していた人たちも、次第に声を上げなくなりました。

単に劇の内容が感動的だっただけではありません。

劇の最後には、国民の感情に影響を与える特殊な聖導具が使われていたのです。

劇に使われた聖導具の効果

『黒の王子と金の乙女』の上演では、終盤に大きな聖導具が使用されていました。

この聖導具には、人へ多幸感を与え、暗示を受け入れやすくする効果があります。

劇の感動が最も高まった場面で多幸感を与えながら、愛を絶対的なものとして伝える。

すると、影響を受けやすい人は恋愛至上主義を熱狂的に支持します。

強い暗示を受けなかった人も、劇を見終えた幸福感によって、その考えを受け入れやすくなります。

そして、恋愛至上主義を支持する人が大きな声で主張すれば、疑問を持っている人は、

「反対している自分の方が少数派なのかもしれない」

と思い、意見を言いにくくなります。

この積み重ねによって、最初は国王に批判的だった国民まで、少しずつ恋愛至上主義へ流されていきました。

ただし、精神に影響を与える聖導具は使用を禁止されています。

つまり、スラン王国の価値観は、違法な手段によって意図的に誘導されていたことになります。

フォンタナ元宰相はなぜ自分の娘を悪役にしたのか?

フォンタナ元宰相の目的は、娘の名誉をすぐに回復することではありませんでした。

国王の恋愛を美化し、その価値観を国中へ広げる。

国民が愛を理由に約束や契約を破るようになれば、国内の事業は不安定になります。

他国との婚姻や取引でも同じ問題が起きれば、スラン王国の信用は失われていきます。

その結果、いつか国が衰退したとき、原因を調べれば必ず恋愛至上主義へ行き着きます。

そして、その始まりとなった国王は、美しい恋愛を貫いた人物ではなく、

国を衰退させた愚かな王として歴史に残ります。

自分が生きている間に復讐が完成しなくても構わない。

フォンタナ元宰相は、国王の評価を後世まで落とすために、何十年もかかる復讐を仕掛けたのだと考えられます。

娘を悪役として描いた劇も、国王の恋愛を広く記録に残すために必要だったのでしょう。

あまりにも長く、重い復讐です。

実際、フォンタナ元宰相は亡くなっています。

国王は聖導具の存在を知っていた

さらに問題なのは、国王が聖導具の存在を完全に知らなかったわけではないことです。

国王は、フォンタナ元宰相から、聖導具には観客の幸福感を高め、賛同を得やすくする効果があると説明されていました。

そのうえで使用を許可しています。

ただし、国王は国民を大規模に操ろうと計画した人物ではありません。

聖導具が国全体の価値観を変え、将来的にスラン王国を追い詰める危険性まで理解していなかったのでしょう。

フォンタナ元宰相に効果を小さく説明され、深く考えずに許可した可能性があります。

それでも、精神に影響する道具の使用を認めた責任は消えません。

自分の恋愛を肯定してもらうために安易な判断をした結果、フォンタナ元宰相の復讐に利用されてしまいました。

恋愛至上主義によって国に起きた問題

恋愛至上主義の影響は、夫婦や婚約者だけの問題ではありません。

作品内では、次のような範囲まで被害が広がっています。

  • 婚約や離婚をめぐる争い
  • 家同士で進めていた事業の中断
  • 商人同士の契約問題
  • 国際結婚による他国との対立
  • 外交上の信用低下
  • 国同士の契約への悪影響

スラン王国の人間が「運命の愛だから仕方がない」と言っても、他国には通用しません。

他国から見れば、スラン王国は約束を守らず、問題が起きても責任を取らない国です。

個人の恋愛観だったものが、商売や外交へ広がり、最終的には国全体の信用を失わせていました。

レオンと王太子クロードは、この状況を変えるために法改正を進めようとします。

しかし、法律を変えるには国王の承認が必要です。

自分の恋愛を否定されたくない国王が承認しないため、改革はなかなか進みませんでした。

レオンが恋愛至上主義を嫌う理由

レオンは若い頃から、恋愛だけを理由に契約が無効になることへ疑問を持っていました。

通常の事業契約なら、一方的に約束を破れば責任を問われます。

しかし、婚姻に関係する約束だけは「愛だから仕方がない」で終わってしまう。

この矛盾に気づいていたからこそ、レオンは国の風潮に流されませんでした。

クリスティーヌに興味を持った理由も同じです。

クリスティーヌも恋愛至上主義を嫌い、周囲と違う意見を持ちながら、自分の考えを曲げませんでした。

レオンにとって彼女は、単に容姿が美しい女性ではありません。

誰もが同じ価値観に流される国で、自分と同じ疑問を持っていた貴重な存在でした。

だからこそ、出会って間もないクリスティーヌを逃したくないと感じ、契約結婚を提案したのだと思います。

4巻で作品のジャンルまで変わって見えた

1~3巻では、正体を隠して働くクリスティーヌと、すべてを知っているレオンのすれ違いが中心です。

そのため、契約結婚と正体隠しを楽しむラブコメとして読めます。

しかし、4巻では、

  • 国王の大恋愛
  • 悪役令嬢にされたジュリエッタ
  • 劇による印象操作
  • 違法な聖導具
  • フォンタナ元宰相の復讐
  • 国の信用低下
  • レオンとクロードの改革

が一つにつながります。伏線回収来たぁーーーーー

私はここまで読んで、恋愛至上主義が単なる設定ではなかったことに驚きました。

個人の恋愛を描く物語から、価値観を利用して一つの国を衰退させる話まで広がっていきます。

4巻でレオン側の視点へ切り替わることで、それまで見えていなかった物語の全体像が明らかになる構成が非常に面白かったです。

まとめ|愛を利用して国を壊す復讐だった

スラン王国の恋愛至上主義は、国王の大恋愛だけで自然に広がったものではありません。

フォンタナ元宰相が劇『黒の王子と金の乙女』と違法な聖導具を利用し、国民の価値観を誘導していました。

その目的は、悪役令嬢の汚名を着せられた娘ジュリエッタのための復讐だったと考えられます。

恋愛至上主義が広がれば、婚姻や契約が軽く扱われます。

やがて国内の事業や外交にまで影響が及び、国は他国から信用されなくなる。

そしてスラン王国が衰退したとき、その始まりを作った国王は「愚王」として歴史に残ります。

国王を直接倒すのではなく、国王が望んだ美しい恋愛物語を利用して、未来の評価まで落とす。

フォンタナ元宰相の復讐は、非常に遠回りですが、それだけ娘への思いと国王への怒りが強かったのでしょう。

『契約婚した相手が鬼宰相でしたが』は、契約結婚の甘い恋愛だけを描く作品ではありません。

一つの価値観が絶対的な正義になったとき、社会や国へどのような弊害が生まれるのか。

4巻まで読むことで、この作品の本当の面白さが見えてきます。

『契約婚した相手が鬼宰相でしたが』4巻まで読んだ感想はこちら

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