『鑑定スキルで成り上がる』のクラン・サレマキアは、アルスたちが味方する陣営の指導者です。
優秀な人材を評価し、敵だった人物にも働く場所を与える。そんな器の大きさを見せる一方、16巻ではアルスとの考え方の違いが明らかになります。
クランはアルスの味方ですが、同じ未来を目指しているとは限りません。
この記事では、クランの人物像、弟バサマークとの対立、アルスへの評価、独立国家を目指す思惑を整理します。
※漫画11・12・16巻と、トーマスがアルスに協力する理由についてネタバレを含みます。
Table of Contents
結論|クランとアルスは、平和を実現する方法が違う
クランとアルスは目指しているものが違います。

クランを理解するうえで重要なのは、戦争好きな人物として見ないことです。
帝国が弱まれば各地で反乱が起こり、大陸全体が弱れば他大陸から侵略される。クランは、そうした国同士の力関係まで考えています。
一方、アルスが目標とするのは恒久的な平和です。
| 比較する点 | クラン | アルス |
|---|---|---|
| 目指す方向 | ミーシアンを独立国家にする | 恒久的な平和を目指す |
| 平和への考え方 | 国同士が牽制し合う力の均衡を重視 | 戦争を繰り返さない未来を模索する |
| 戦争の捉え方 | 負の側面だけでなく、もたらす利益にも目を向ける | 人が傷つき、命を失う状況を減らそうとする |
上司であるクランは戦争に対し、肯定的な事を示します。逆に主人公であるアルスは人が傷つかない平和を望みます。
私はこの2つの意見は両方とも至極まともな意見だと思います。クランの言う事も分かります。自分が生まれてから戦争があって繰り返し歴史が繰り返されれば現状で最も効率の良い道を模索してしまいます。
逆にアルスは「転生者」であり、「恒久的な平和」を知っています。自分の世界では外国の概念があれどまずは話し合いや法の整備で「戦争」というものが起きづらい世界だったと思います。
そんな「世界を知っている」からこそ。目指せる違いがあると筆者は思います。
クラン・サレマキアとは?バサマークの兄で、アルスの上に立つ人物

- 名前:クラン・サレマキア
- 弟:バサマーク・サレマキア
- 息子:レング・サレマキア
- 物語での立場:ミーシアンの後継者争いで、アルスたちが味方する陣営の指導者
クランとバサマークは兄弟ですが、ミーシアンの支配権を巡って対立します。
その中でアルスはクラン側に立ち、仲間たちの力を借りながら戦功を重ねていきます。
陣営や戦争の順番を振り返りたい方は、人物関係と戦争の流れを整理した図解記事をご覧ください。
クランの性格|優秀な人材を使い、敵だった者も取り立てる
私から見たクランは、冷静で優秀な現実主義者です。
自分の陣営に役立つ人材であれば評価し、敵だった人物にも協力を求めます。降伏した相手を処刑し、恐怖で従わせることだけを選ぶ人物ではありません。
相手の力を認め、一緒に戦う側へ迎え入れられる。ここには指導者としての器の大きさを感じます。アルスに対しても子供だからではなく、ちゃんと話を聞き用います。
息子レングにも、臣下への失礼を注意する
息子のレングがアルスに失礼な態度を取った際には、クランが諫めています。
臣下だからといって、無礼に扱ってよいわけではない。身内の振る舞いにも注意できるところから、立場だけで相手を軽く見る人物ではないと分かります。自身でも厳しくしているが奔放に育ったと語っています。
11巻では、暗殺の危機にもすぐ反撃する
クランの優秀さは、人材の扱い方だけではありません。
11巻で暗殺を狙われた際には、危機に対してすぐさま攻撃へ転じる対応力を見せます。ファムにも、陣営の頂点に立つ将軍としての実力を認めさせる場面です。
部下に守られるだけでなく、自分自身も強い。その判断と行動の速さが、クランの頼もしさにつながっています。
この場面で働くファムについては、ファムの活躍とアルスへの信頼を紹介した記事でも触れています。
この優秀さは「トーマス」には弱点と言われます。優秀が故に自身でやろうとすることを。
12巻の雪合戦|クランはアルスを疑っている?

クランとアルスの距離感が印象に残るのが、12巻・第100話の雪合戦です。
クランはアルスに、隠していることや目的を問いかけます。最初は重い雰囲気で、アルスの力を警戒しているようにも見える場面です。
その後、クランは、家臣からアルスの野心や信用を疑う声が出ているため尋ねたという趣旨を伝え、期待を示します。
ここを読むと、アルスの才能が評価されるほど、周囲には警戒も生まれるのだと感じます。
私には、クランはアルスを大事にしている一方、無条件に信頼するのではなく、有能な人物だからこそ、その目的も確かめようとしているように見えました。
16巻で弟バサマークに勝利|最期の警告は何を意味する?

16巻では、アルカンテス城での決戦を経て、クランがバサマークに勝利します。
しかし、敵だった人材を取り立てるクランも、弟のバサマークは処刑します。
バサマークは最期に、クランが頂点に立てばミーシアンはいずれ分裂し、破滅へ向かうという趣旨の警告を残します。
敗れた弟が兄をどう見ていたのかを示す言葉であり、その真意を考えるには、続いて明らかになるクラン自身の構想を見る必要があります。
クランの思惑|なぜミーシアンを独立国家にしたいのか
16巻でクランがアルスに語るのは、ミーシアンを独立国家にする構想です。
クランの説明では、サマフォース帝国はもともと7つの国に分かれていました。帝国が力を失えば反乱が起こるという構造そのものを、戦乱の原因として捉えています。
その考えは、次のように整理できます。
- 帝国が弱まれば、各地で反乱が起こる。
- 一つの勢力だけが強くなれば、力の均衡が崩れる。
- 独立した国同士が牽制し合えば、平和を維持する力になる。
- ただし、大陸全体が弱まれば、他大陸から侵略される危険がある。
クランは戦争の損失を理解しながらも、戦争がもたらす利益からも目をそらさないよう、アルスに求めます。
私はここに、クランの現実主義がよく表れていると感じました。目の前の被害だけでなく、国家の独立や周辺勢力との関係まで計算に入れているからです。
アルスとの相違点|独立国家と、恒久的な平和
クランの構想を聞いた後、アルスはローベント家の仲間たちと情報を共有します。
そこで目標となるのが、恒久的な平和。その実現に向けて、できることから取り組み、皇帝を目指すという方向です。
クランは国同士の均衡によって平和を保とうとし、アルスは恒久的な平和を実現する道を探す。
どちらも国の将来を考えているからこそ、単純な善悪では分けられません。ただ、目標とする体制が違えば、今は味方でも、将来ずっと同じ道を歩めるとは限らないのです。
トーマスがアルスを支える理由にも、クランとの関係がある
この将来の対立の可能性に目を向けたのが、バサマークに深く忠誠を寄せていたトーマスです。
クランを恨むトーマスにとって、アルスを強くすることは、バサマークの仇を討つ可能性につながります。
そのため、アルスへの協力を、クラン陣営への心からの帰順と同じ意味で捉えることはできません。
勧誘やミレーユとの筆談については、トーマスはなぜアルスに力を貸すのか?勧誘の経緯と本当の狙いで詳しく整理しています。
クランの魅力は、有能さとアルスとの思想の違い
クランは、人材を評価する器と、自ら危機に対応する実力を持った指導者です。
- 息子にも臣下への礼儀を求める。
- 敵だった人物でも、力を認めて取り立てる。
- アルスを評価しながら、その目的も確かめる。
- ミーシアンの独立と、国同士の力の均衡を考える。
それでも、アルスと同じ未来を見ているとは限りません。
私は、クランが優秀な人物として描かれているからこそ、アルスとの違いが面白いのだと思います。頼れる味方の考えを知ることが、自分は何を目指すのかをアルスが考えるきっかけにもなっているからです。














現実主義者だからこそ、自分に牙をむけば即刻排除する人間だと思いました。